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子どもの発達格差について
目次
子どもの発達格差とは
10月の学研教室全国指導者研修で、京都大学の森口佑介先生の講演を拝聴しました。
「子どもの発達格差」という同名の先生の著書の内容をぎゅっと濃縮したものでしたが。私はまずこの”子どもの発達格差”という言葉にとても興味を持ちました。
10年以上教室指導をしているとどうしても
★なんでもすぐに理解できてしまう子
★一つの事を理解するのにとても時間がかかる子
の違いがどこから来ているのか、とても興味がありました。
先生のお話の中では、「未来に向かうこども」と「今を生きるこども」との発達格差が見られるとあり、子どもは本来、今を生きつつ未来に備えているのが基本だが、中には今しか見ることができない子どもたちがいる。それは乳幼児期の大人との関わりから大きく影響を受けるもので、幼児期に見られる格差が青年期にかけてどんどん拡大していく可能性があるとのお話でした。
なぜ格差が生まれるのか
いわゆる「非認知能力」についても、その解釈や定義が心理学や教育の現場で大きく乖離している場合もあり、森口先生は、自制心や他者を思いやる気持ちなどをまとめて「向社会的行動」と定義しています。
この「向社会的行動」は2歳ぐらいまでの乳・幼児期に育まれ、それは養育者(主には親)との愛着関係が大きく影響しており、安全基地としての養育者との関係が成立していない、なんらかの問題がある場合には、子どもたちは思いやりに欠けていたり、他者を理解できないなどの問題が出てくることが、様々な実験や観察から明らかになっているとのことでした。
そういった環境で育った子どもたちは、未来を見ることが難しく、今食べてしまわないと!今手に入れてしまわないと!などの感情が働きやすく、他者を思いやって自制することが難しくなるそうです。
逆に「向社会的行動」が育まれている子どもは、自分が他者を愛することができるため、他者からの愛情も受けやすく情緒が安定し脳が活発に働くことも分かってきたそうです。教育的な観点から、4歳・5歳になっても他者への思いやり行動が見られない子どもには支援が必要だと考えられています。逆にこの時点で思いやりを示すことができる子どもたちは、青年期の学力・人気・健康面で高いパフォーマンスを示すとも分かってきているそうです。
具体的な支援の内容については言及がありませんでしたが、以前に読んだ「子どもの脳は皮膚にある」(山口創 著)に共通する見識があり、いかに乳・幼児期にたくさんのスキンシップを取り、養育者との間に深い信頼関係・愛着関係を確立することが大切かを感じました。
皆さんもぜひ手に取って読んでいただきたい1冊です。
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